Q 広島市立大学の概要を教えてください。
A 学部は国際学部、芸術学部、情報科学部の3学部で、学生数は約2,000名です。キャンパスは広島市の安佐南区にあり、近くにサンフレッチェ広島のホームスタジアムであるエディオンスタジアム広島があります。
Q 附属図書館の概要を教えてください。
A 図書約34万冊、雑誌約400誌、視聴覚資料約1,700タイトルを所蔵しています。図書館はどの学部からもアクセスしやすいキャンパスの中心にあります。
Q 機関リポジトリを設置したのはいつですか?その経緯は?
A 正式に設置したのは2008年4月頃。その約1年前の2007年春頃、広島大学さんがリポジトリを始める際に県内の大学を集めた勉強会に参加したのがきっかけです。その後館内で検討を行い、広島県大学図書館協議会の共同リポジトリであるHARPに参加しました。
Q なぜHARPに参加しようと思ったのですか?
A リポジトリは当時はまだ言葉を聞き始めた頃で、意義は理解できても単独ではかなりの費用負担と労力が必要なため、立ち上げることはできなかったと思います。県内複数の大学図書館で共同でやろうという機運が盛り上がったため、参加しない理由はないという感じでした。
Q オープンアクセスポリシーはありますか?
A ないです。リポジトリの運営指針はありますが、ポリシーはありません。
Q 自機関リポジトリの主な登録コンテンツを教えてください。
A 博士論文、紀要論文、広島平和研究所の雑誌記事・図書、一般雑誌記事、会議発表論文などです。
Q 自機関リポジトリならではのおすすめコンテンツはありますか?
A 学内の先生に「リポジトリじゃないと公開できないよ」と言われている雑誌記事です。紙はあるけど、オンラインは会員しか見えないという雑誌に掲載されている記事です。
Q 積極的に機関リポジトリに成果を登録されている教員はいらっしゃいますか?
A 2名ほど積極的に利用してくださる先生がいらっしゃいます。
Q そのほかの先生はどうですか?
A ときどき、思い出したときに、過去の成果を送付してくださる先生がいます。
Q それは、図書館から何かお願いをされたのですか?
A いえ。最近は依頼していないです。しかし、会議などでリポジトリのことを聞いて、大量にコンテンツ提供してくださることがあります。
Q 設置当初の難しかったこと、嬉しかったことはありますか?
A 初期の難しかったことは、リポジトリについて理解してもらうことが大変だったことです。学内で説明会を行ったけど、なかなか理解されない時期はありました。だけど、「県内の大学で共同でやっている」という説明をすると、反応がよかったと思うし、それは強い意味を持った気がします。
嬉しかったことは、説明会後、一部の教員がたくさんコンテンツを持ち込んでくれたことです。出版社との著作権やりとりは大変だったし、商業誌の出版社もリポジトリについての理解が全然ないこともあったのですが。
Q 現在、難しいと思っていることは何ですか?
A 難しいのは権利関係で海外の出版社や学会とやりとりをすることです。海外の学会などでは何度か依頼をして、許可が貰えることが多いです。
Q 機関リポジトリを設置してから一番嬉しかったことは何ですか?
A コンテンツ登録後すぐにダウンロード数が急に増えるときは、登録した甲斐があって私も嬉しいし、先生も喜んでくださいます。
Q 先生も喜んでくださるのですか?
A 先生も数値を気にしておられて、数値がのびると喜んでくださいますね。「これは皆にも見てほしかった」と時々言われます。
Q 意外とリアクションがあるのですね。
A その先生はとってもあります。(笑)
Q その他はどうですか?
A 留学生の博士論文でもダウンロード数が多いものがあるので、うれしく思います。おそらく海外からのアクセスが多いのではないかなあと思います。もし、博士論文が今でも冊子でしか流通していなかったら、そこまで読まれなかったのではないかと思います。リポジトリから公開されることで、より多くの読者に先行研究として使われたのだったらいいなと思います。
Q これからどんなリポジトリにしていきたいですか?
A 学内の出版物や、先生方がご自身で発表されているものを気軽に頼めるような、敷居が低いという雰囲気をもっていたいです。また、あまり流通していない資料をこれからもウェブから無料で公開していきたいですね。それが本来のリポジトリの意義だと思いますので。
Q 研究者の業績評価に論文のOA化(機関リポジトリへの登録等)が含まれていますか?
A 担当部署に確認していないのでよく分からないのですが、大学としての業績評価にはOA化は含まれていないと思います。
Q 研究者がOA化を進める上で,有効な手段は何だと思いますか?
A これは難しい質問ですね。研究者の立場にならないと、ベストな回答はよくわからないです。
Q JPCOARに加入されたのはいつですか?
A 平成29年度より加入しました。広島大学でミーティングがあった際に、JPCOARについての話があって、入ることを決めました。
Q JPCOARに加入してよかったことは何ですか?
A 初任者研修に行けたことです。右も左もわからなかったから、とても役に立ちました。研修のマニュアルを見ながら登録作業を行っていました。
Q JPCOARへの要望などはありますか?
A JPCOARからの情報提供で、世の中の流れを漠然と感じています。なかなか東京で実施されるイベントには参加できませんが。
Q オープンアクセスウィークは何かする予定はありますか?
A ポスターを飾ります。サイネージにも出そうかな。
Q 最後にリポジトリやオープンアクセスに関する意気込みをお願いします。
A 繰り返しになりますが…先生が依頼しやすい、敷居の低いリポジトリ担当者でいたい。でしょうかね。
本当にそうですね。色々なコンテンツが機関リポジトリから公開されて、学術情報の世界も徐々に変わっているのではないかという気がしています。
少しずつですが、この10数年間で着実に変わってきたなあという印象を持っています。地道に、地道に活動を進めていくことが大きなことにつながるように思います。
では、インタビューご協力ありがとうございました。最後にお写真を撮りましょう!
(早速ポスターを印刷していただき、一緒に写真撮影に応じてもらえました。)
(インタビュー日:10月15日 インタビュー:内田、上田 文責:上田)
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